角柱型磁石、(中空)円柱型磁石及び扇型型磁石の不可逆減磁のシミュレーションが可能です。材質を変更して何℃から不可逆減磁が発生するのか等も確認で来ますので、材質選択の助けになります。簡単な計算原理と計算の流れ、及び具体的な計算例を以下に示しています。

不可逆減磁の簡単な原理と計算の流れ

磁石内部には、磁石の磁化 ( I ) と逆向きに磁極面から発生する反磁界 ( H ) が存在します。磁場 ( B ) は、磁化と反磁界の和で 

( B ) = ( H ) + ( I )

と表され、パーミアンス係数 ( Pc ) は

( Pc ) = ( B ) / ( H )

で表されます。ネオジム磁石の場合、不可逆減磁は、磁石の温度が高くなった時に、磁石の保磁力が小さくなる事により発生します。この時パーミアンス係数 ( Pc ) が小さいほど不可逆減磁が発生しやすくなります。 パーミアンス係数は磁石内部の場所により異なりますが、磁極の表面近くで小さくなり(反磁界が大きくなる)磁石の中央部で高くなります。(反磁界が小さくなる。)本アプリケーションソフトでは、磁石内部を分割し磁石内のパーミアンス分布関数を先ず求めます。(これは形状のみに依存します。)次にこの分布関数を元に、不可逆減磁率の温度依存性を求めます。この時、温度、保磁力を変更し、お客様の要求耐熱温度に対し必要な保磁力のシミュレーションが可能です。(保磁力の温度係数は、代表的な値を用いています。)

計算例

磁石の厚さを振った場合の、パーミアンス係数と不可逆減磁が始まる温度を調べる。厚さを振った磁石を配置したモデル。

・パーミアンス分布関数

計算する磁石を選び計算開始すると、平均、最小、最大パーミアンス係数の計算結果が表示されると同時にパーミアンス値とその値までの累積体積比を示すグラフが出力される。

・不可逆熱減磁の計算

磁石の保磁力 Hcj 及び 最高温度を入力し、熱減磁の計算を開始すると、温度と不可逆減磁率の推定グラフが出力される。

・磁石厚さと不可逆減磁の関係

各厚さの磁石で、上記計算を行いまとめた。磁石厚さを厚くすると不可逆減磁開始温度が高くなる。

・磁石保磁力と不可逆減磁開始温度

磁石厚さを固定し、磁石の保磁力 ( Hcj ) を何点か振って保磁力と不可逆減磁開始温度の関係を計算する。

例えば100℃までの耐熱が必要であれば磁石の保磁力は19kOe以上は必要ということが確認できる。

アプリケーションソフトの動作環境

WINDOWS環境下で動作します。WINDOWS10,11 を含むそれ以前のWINDOWSでの動作が可能です。

実際に使って確認したい

先ずは、無償版で使ってみてください。無償版は全ての対象と機能が使用できます。但し、インストール後3日を超えると使用できなくなりますのでご留意ください。

無償アプリケーションのインストール

無償アプリケーションダウンロードのページよりインストールファイルダウンロードして、アプリケーションソフトをインストールください。